根管治療

根管治療の成功率は、治療方法によって異なります。以下のデータはアメリカで示された統計です。

パターン①のように、根管治療は高い精度、、かつ被せ物が自費の場合、成功率は90％以上になります。つまり、再発を防ぐためには、高い精度の治療と適切な被せ物の種類の選択が重要です。

これを見ると、「高い自費治療じゃないとだめなのか・・・」と思われるかもしれないですが、たとえ保険治療でも、治療精度が高ければ成功率は上がります。
当院には治療精度を高める環境が整っておりますので、それぞれご紹介します。

根管治療の精度を高めるための、当院の設備体制についてご説明します。

立体的に構造を可視化「CT」

一般的なレントゲンは2次元（平面）なので、歯の位置や角度によって画像に写らない部分もあり、症例を見逃してしまう可能性があります。一方、CT装置は顎の状態を3次元（立体）で撮影する画像診断装置です。立体的に病巣の位置や骨の内部などの状態を、さまざまな角度から把握できるため症状の見逃しを防ぐことができます。

以下の画像は同じ部位のレントゲン画像とCT画像の比較です。

左側は、2次元のレントゲンで撮影した画像です。一見、赤い丸の部分は問題がないように見えます。
右側は同じ部分をCTで撮影した画像になります。赤丸部分は歯の根の先に膿があり、その周りの骨が溶けている状態です。
このようにCTを使うことで見えない部分を可視化して、根管治療の正確性を高めることができます。

複雑な根管内を清掃「ニッケルチタンファイル」

ファイルとは、根管治療において感染した根管内の組織を取り除くヤスリのような器具です。様々な種類のファイルがありますが、当院では主にニッケルチタンファイルを使用しています。

ニッケルチタンは柔軟性が高い・折れにくい・根管内の組織を傷つけにくいという特徴があります。そのため、複雑な形状の根管でも隅々まで清掃できます。

また、ニッケルチタンファイルを用いることで、根管内の清掃効率が向上し、「再発」や「治療の長期化」を防ぐことができます。

根管治療の成功は根管内を無菌状態にどれだけ近づけるかにかかっています。
根の中に細菌を残さない「無菌」状態を目指すために、当院では次のような取り組みを実施しています。

1.根管への唾液の侵入を防ぐ「ラバーダム」

唾液には多くの細菌が含まれているため、治療中に唾液が根管内に入り込まないように注意が必要です。

「ラバーダム」を使用することで、唾液の侵入を防ぎ、再発のリスクを大幅に低減できます。

2.根管内の消毒「EDTA」

「EDTA」は根管内を洗浄し、細菌を殺菌する薬剤です。

根管内をファイルで削った際に発生する「削りカス」や、器具では届かない複雑な根管内の部分を、洗浄し殺菌することができます。これにより、治療の成功率が向上する効果が期待されます。

3.封鎖性と殺菌性に優れた「MTAセメント」

根管治療後は、根管内に細菌が再び侵入しないよう、根管充填という作業を行います。この作業では、根管内を隙間なく埋めることが重要です。

当院では、根管充填にMTAセメントを使用しています。MTAセメントには高い殺菌作用があり、根の内部の細菌の繁殖を抑制する効果があります。これにより、再発のリスクを軽減できます。

根管治療では、通常の治療では汚れを完全に取りきれない場合があります。そのような一部の症例では、外科的処置が必要となる場合があります。具体的には、「歯根端切除術」という方法が用いられます。

歯根端切除術は、歯根の先端に形成された膿の袋を取り除く治療法です。根管治療で治らなかった場合や、根管治療ができなかった歯を抜歯せずに残すことができる可能性があります。

当院では、他院で抜歯を勧められた難症例にも対応しています。歯を残したい、抜歯を避けたいと考えている方は、ぜひ一度当院にご相談ください。

ファイバーコアとは？

根管治療後には、被せ物を支える土台を作成する必要があります。その土台となるのが「ファイバーコア」です。ファイバーコアは、グラスファイバーという材質でできた土台で、耐久性や弾力性に優れています。特に、歯質の大部分を失った歯に対して適切な土台となります。

ファイバーコアの特徴についてご説明します。

1.自然な見た目の仕上がり

上の画像はそれぞれのコアに被せ物をし、光を当てて比較したものです。

左の画像がファイバーコア、右の画像が金属コアです。
ファイバーコアは光を透過しやすく、より自然で透明感のある見た目に仕上がります。

2.高い柔軟性と耐久性

グラスファイバーは、天然歯とほぼ同じ「硬さ」と「柔軟性」を持っています。そのため、歯が割れるリスクが低くなるのが魅力です。

一方、メタルコアは材質が硬すぎるため、歯に強い力が加わると、メタルよりも柔らかい歯が折れる可能性が高くなります。

特に、神経を取った歯は時間が経つにつれて弱くなる傾向があるため、歯の硬さに近いファイバーコアを使用することで、歯を衝撃から守る役割があります。